2年3組!鈴木班

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人 物
 鈴木風太(14)中学二年生
 鈴崎沙也(14)中学二年生
 笹田翔平(13)中学二年生
 須々木文香(14)中学二年生

○山道・全景
   木々の間に伸びる一本道。
   すすきが風に揺れる中、ジャージ姿の
   中学生4人が歩いている。

○森の中
   先頭を歩く鈴木風太(14)が立ち止
   まり、笑顔で振り返る。
鈴木「おーいみんな、付いて来てるか〜!」
   鈴崎沙也(14)が、鈴木を睨んで舌
   打ちする。
沙也「5分おきに確認すんな、しつけーな」
   鈴木、目の横でピースし、ウィンク。
鈴木「だって俺、班長だもん!」
   沙也、隣にいる須々木文香(14)の
   腕をつかみ、手を上げる。
沙也「あばよ班長。私らは別行動すっから」
鈴木「えっ! なんで!? みんなで山菜獲
 ろうよ!」
沙也「テメーが嫌いだから一緒にいたくねえ
 んだよ!」
   鈴木、目を見開き、一歩下がる。
鈴木「そんなハッキリ、嫌いって言う!?」
   沙也、鈴木を指さして。
沙也「テメーが小1の時に私にしたこと、忘
 れたとは言わせねぇかんな……!」
   鈴木、首を傾げ、両手の平を上げる。
鈴木「はて……?」
   沙也、眉間にしわを寄せて舌打ち。
   笹田翔平(14)がリュックのハンド
   ルを握り締めて、鈴木に近づく。
   耳打ちで。
笹田「鈴木くん、まさか覚えてないの?」
   鈴木、力強く頷いて。
鈴木「全然まったく!」
   沙也、親指を下に向けながら。
沙也「死ね」
鈴木「死を願われるほどにっ!?」
   笹田、ため息をついて首を振る。
   文香、鈴木に微笑みかけながら。
文香「鈴木くんはねぇ、さーちゃんのピカピ
 カのランドセルに鼻クソ付けたんだよ〜」
   木枯らしが通り抜け、すすきが風に揺
   れる。
   鈴木、笹田を見て、耳打ちする。
鈴木「……ほんとに?」
   笹田、目をそらして頷く。
笹田「うん。鈴崎さんがピンクの可愛いラン
 ドセル〜ってはしゃいでた所に、『もっと
 可愛くしてやるよ』って、君が」
   鈴木、目を見開いて口に手を当てる。
鈴木「なにそいつ、クソガキじゃん!」
沙也「オメーだよ!」
鈴木「そうでした! ごめんなさぁい!」
   鈴木、地面に土下座する。
   沙也、両腕を組み、鈴木を見下ろす。
沙也「ハッ。やっすい土下座だなぁ、オイ」
   文香、くすくすと笑う。
文香「名前順じゃなきゃ、同じ班で行動する
 なんて有り得ないメンバーだよね〜」
   鈴木、顔を上げて3人を見渡す。
鈴木「そうだよな! だから今日、俺けっこ
 う楽しみにしててさ!」
沙也「オイ、なに笑ってんだテメー」
鈴木「ごめんなさい! でも鈴木と鈴崎と
 須々木が同じ班って大分オモロくない?」
   沙也と文香、笹田を見る。
   笹田、苦笑いで目をそらす。
笹田「なんかごめん、僕が混ざってて……」
   沙也と文香、鈴木を見下ろす。
沙也「そういう無神経さだよ、テメーはよ」
文香「ふふ、鈴木くんってほんと周り見えて
 ない系男子だよね〜。愚かなり〜」
   鈴木、立ち上がり、笹田と肩を組む。
   満面の笑みで。
鈴木「何言ってんだよ笹田ぁ! 俺たち親友
 だろ!」
笹田「ええ……?」
鈴木「去年の運動会で転んだ俺を、保健室に
 連れて行ってくれたじゃん!」
笹田「それ2組の佐々木くんじゃない? 保
 健委員の……」
   鈴木、首を傾げる。
鈴木「ふぁい?」
   沙也、大きなため息をついて首を振
   り、歩き始める。
   文香、笹田が後に続く。
沙也「あばよ。記憶力も鼻クソ班長」
   鈴木、泣きべそをかきながら3人を追
   いかける。
鈴木「うえぇ〜ん、ごめんなさぁ〜い! 俺
 もっといい奴になるからぁ〜!」
沙也「ダメ男はみんなそう言うんだわ」
文香「あは、うちのパパみたい〜」
   笹田、辺りを見回し、一点を凝視。
笹田「んん……?」
文香「笹田くん、どうかした?」
   全員で森の奥を凝視する。
   トンボの群れがグワっと現れる。
全員「うわあっ!」
   沙也と文香、頭を手で覆って走り出
   す。
沙也「キモい、キモい、キモい!!」
文香「ひぃ〜! この数はやばい〜!」
   笹田、全速力で走っている。
笹田「イィヤァーーッ!」
   鈴木、ジャージを頭に被りながら走
   り、吹き出す。
鈴木「スマブラのロイみたいに叫んでる!」

○山道
   入り口に座り込み、荒れた息を整えて
   いる4人。
   笹田、頭を抱えてブツブツと。
笹田「森は嫌だ、森は嫌だ、森は嫌だ……」
   鈴木、笹田の肩に手を置く。
鈴木「もういないから大丈夫だって。ほらこ
 れ、虫よけに貸してやるよ」
笹田「え……? あ、ありがとう」
   鈴木が笹田にジャージを差し出す。
   トンボが3匹付いている。
笹田「イィヤァーーッ!」
   笹田、鈴木をビンタ。
鈴木「へぶッ!」
   沙也と文香、吹き出す。
   けらけら笑って。
沙也「ぶふっ、なんかっ、スッキリしたわ」
文香「やったれ、やったれ、笹田くん〜!」
   水筒で麦茶を飲む4人。
   入り口の屋外時計を見て、ハッとす
   る。
鈴木「うわ! なんかゆっくりしちゃったけ
 ど、あんま時間ないじゃん!」
沙也「もうその辺に生えてるすすきで良いん
 じゃない? 獲って帰るの」
   文香、水筒のコップを両手で持ち、首
   を傾げる。
文香「すすきって、山菜?」
鈴木「なんかのアニメで、すすきのお茶って
 美味しいって言ってた! アリじゃん?」
文香「じゃあいっか。先生に却下されたら、
 みんなで怒られようね」
   鈴木、胸を張り、笑顔で頷く。
鈴木「その時はこの俺、班長鈴木が! 全て
 のお説教を受けましょうぞ!」
沙也「それでも鼻クソ罪は消えねーけどな」
   鈴木、左右に体を揺らして、沙也に近
   寄る。
鈴木「やだぁ〜。許してよぉ、お願い〜ん」
沙也「クネクネすんな、キメエ!」
   沙也、鈴木を蹴っ飛ばす。
   笹田が横を向き、小さく吹き出す。
沙也「テメーが万が一結婚できるとしたら、
 式場に乗り込んで『こいつは鼻クソ野朗で
 す』ってエピソードぶち込むからな!」
   鈴木、泣きべそで土下座。
鈴木「それだけはぁ〜! せめてお葬式会場
 にしてくださいぃ〜!」
笹田「……お葬式ではアリなの?」
   鈴木、頭を上げてニヤッと笑う。
鈴木「鈴木くんったら、そんなお茶目なとこ
 ろもあったのね……って、ややウケ狙える
 じゃん?」
笹田「ウケるかなあ……」
   文香、辺りを見渡して。
文香「ねえねえ。すすき、どのくらい獲って
 帰る?」
沙也「お茶つくってレポート出さなきゃいけ
 ないから、4人で飲めるくらい?」
笹田「片手でざっくり掴めるくらいかな?」
   鈴木、太陽光が当たっているすすきを
   指さす。
鈴木「ならさ、あそこの黄金のすすきにしよ
 うぜ!」
   沙也、ため息で首を振る。
沙也「オイ〜またなんか言ってるぜこいつ」
鈴木「なんだよ〜! お日様の光いっぱい浴
 びてた方が、何となくうまそうじゃん!」
   文香、微笑んで頷く。
文香「たしかに、そうかも〜」
鈴木「な! じゃあ鈴木、いっきまーす!」
   鈴木、太陽光が当たっている箇所へ走
   り出す。
笹田「あ、鈴木くん待って。軍手とハサミ」
   鈴木、すすきを一房、素手で掴む。
鈴木「ぎゃあああぁ痛ぇーーッ!」
   鈴木、地面でのたうち回る。
   沙也、腹を抱えて鈴木に近づく。
沙也「あっはっは、アホかテメー! ウケ
 る、いい気味! おら、大丈夫かボケ!」
   鈴木、背中を指さし、苦しげに。
鈴木「うう、俺のリュックに包帯と、添え木
 があるから……手当てしてくれ……」
沙也「なんだ、そのラインナップ!?」
鈴木「誰か骨折するかと思ってぇ……」
沙也「消毒液と絆創膏が先だろうがよ!」
   沙也、自分のリュックから救急セット
   を出し、笑って鈴木を手当てする。
   笹田と文香が、鈴木と沙也を笑顔で見
   ながら、すすきを刈り取る。

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